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2011.12.14

苫米地美智子 「胸にいだく2つの思い」

文 松原孝臣

芽生えた憧れ

チームに新しい顔が加わった。
 苫米地美智子である。チーム岩手でスキップとして活躍し、日本選手権に出場してきた。また、夫である苫米地賢司と、ミックスダブルスで2008(当時は平美智子)、2011年と世界選手権に出場している。
「小笠原さんたちといっしょにやりたいという憧れがかなって、うれしかったです」
 と、苫米地は笑う。

 苫米地と小笠原、船山の出会いは、小笠原たちがチーム青森にいたときにさかのぼる。
 岩手県二戸市でカーリングをしていた苫米地は、こう振り返る。
「練習はスケートリンクでやっていたのですが、スケートリンクだとすごく傾斜がすごくてカーリングの作戦が成り立たないんですね、青森にカーリングの専用リンクができたので、岩手から練習のために通うようになったんです。そうしたら、小笠原さんたちが青森に来て、教えてもらうようになったんですね。すごくわかりやすい指導でした。年齢が近いこともあって、仲良くなりましたね」

 そして小笠原とは、2008年にも「出会い」があった。
 ミックスダブルスの日本選手権決勝で対戦したのだ。小笠原は、長野オリンピック代表の敦賀信人とコンビを組んでの出場だった。
「敦賀さんにも、教えてもらったことがあるんですね。だから2人と対戦するとなって、びっくりしたのと嬉しかったのと両方がありました。でも、教わってきた成果を、実力を出すことが感謝になるという思いをこめて試合をして、勝つことができた。とてもうれしかったです」
 優勝した苫米地は、日本代表としてフィンランドで行なわれた世界選手権に出場するが、このとき、小笠原がコーチとして帯同することになった。
「日本にいるときも、フィンランドに行ってからも、いろいろ教えてもらったのを覚えています」  そして苫米地は、2006年のトリノオリンピックに応援のために行った。日本代表として出場したチーム青森の小笠原、船山らの活躍が、心に焼き付いていた。

 こうしたかかわりのあった小笠原たちが、現役に復帰すると聞いた。2010年の秋のことだ。  そのすぐあとの11月、小笠原と船山が、一般のカーリング愛好者の指導のために岩手を訪ねた。苫米地も、その場にいた。
2人が指導する姿を見て、苫米地は強い思いにかられた。
「2人といっしょにやりたい」
 胸にあたためていた思いが、抑えきれなくなった瞬間だった。
「2人が復帰するという話とメンバーはまだ全員決まっていないということを聞いていた時点で、いっしょにやりたいなあという願望はありました。でも、自分から言うのってどうなんだろうという思いもあって……。でも2人がプレーしている姿を見たら、どうしてもやりたくなって」
 そして苫米地は、思いを打ち明ける。
「でもそのときは、難しいというお返事をいただきました」
 残念だった。残念ではあったが、自分のチームのこともある。ミックスダブルスもあった。気持ちを切り替えて、プレーに励んだ。

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運命をかえた一本の電話

 2011年には、ミックスダブルスで日本選手権に優勝し、世界選手権にも出場。
 8月、ニュージーランドでの大会に出場し、準優勝を果たした苫米地は、帰国した当日、一本の電話を受ける。小笠原、船山からだった。
「一度断っているし今更だけどもしまだ、気持ちがあるなら」
 誘いを受けて、苫米地は、答えた。
「やります」

 ただ、加入するとなれば、岩手を離れざるを得なくもなる。仕事をしていたから、職場などの理解を得なければならない。
「日本選手権にチームで出場したり、ミックスダブルスでも遠征に出かけたり、職場にもとても迷惑をかけてきた中でも、応援してもらってきた。なのに、急に辞めるということになると迷惑をかけてしまうことになるし、が申し訳なかったですね。でも主人にも賛成してもらえて、職場の皆さんには私の気持ちを受け入れていただきました。」
 そして苫米地は、9月の下旬、帯広でのフォルティウスの合宿に参加し、10月には、カナダ合宿に出かけた。
「もともと仲良くさせてもらっていたので、とくに印象のかわったところはなかったのですが、カーリングに対する知識や経験はほんとうにすごい。勉強になりますし、カーリングへの熱もすごいんだなあとあらためて感じさせられました」
 小野寺については、こう語る。
「素直で落ち着いた雰囲気もあって、話してみると、しっかりしているな、自分を持っているな、と感じました」

 こうして、フォルティウスのメンバーとなった苫米地には、大きな目標が2つある。
 ひとつは、オリンピック出場。
「トリノオリンピックに見に行って、オリンピックの雰囲気を知りました。あの舞台でプレーできたら幸せだろうなって感じたんですね。だから、オリンピックに出てみたいっていう憧れがあります。それもあって、フォルティウスに入ったんです」
 そして、こんな思いも抱いている。
「私はスケートリンクでカーリングを練習してきました。やっぱりカーリングホールで練習している人とは経験が違います。でも、スケートリンクで育った私がオリンピックに出られたらすごいことだと思うし、スケートリンクでやっている人たちにも励みになるんじゃないかと思うんです。それに、岩手出身の選手がオリンピックに出たら、カーリング場も増えるかもしれない」

 12月17日には、札幌地区予選が始まる。
「実力はまだまだなんですけれども、みんなで助け合いながら、予選をひとつずつ勝ち上がって行きたいと思います。そして私も、少しでもチームの勝利に貢献していければ、貢献していきたいです」
 熱い抱負を胸に、大会へと臨む。



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